電柱広告方法事件:自然法則の利用の判断

昭和31年12月25日判決 昭和31年(行ナ)第12号 特許願拒絶査定不服抗告審判審決取消請求訴訟事件
東京高裁
行集7巻12号3157頁,百選[3版]2事件,中山95頁,高林27頁

  • 事案の概要
    • 原告は,「電柱広告方法」の発明について特許出願したが拒絶され,抗告審判請求も,先行技術文献により公知であること,商業上の発明に過ぎないことなどを理由に棄却されたため,同審決の取消しを求めて提訴した。
  • 判旨(棄却)
    • 「本件出願の電柱広告方法は,…電柱及び広告板を数個の組とし電柱に付した拘止具により,一定期間ずつ移転順回して掲示せしめ,広告効果を大ならしめようとする広告方法であると解すべきであるが,右広告板の移動順回には少しも自然力を利用せず,この点では特許法第1条にいわゆる工業的発明を構成するものということができない。仮りに右広告板拘止装置として新規な工業的ものがあったとしても,それによっては装置そのものが新規な工業的発明を構成するに過ぎず,広告方法としては,それがために工業的方法を構成するに至るものとは解することができないばかりでなく,本件出願発明における電柱を利用する広告板の掲示装置が,何等新規のものでないことは,先に認定したところである。」