欧文字単一電報隠語作成方法事件:自然法則の利用の意義

昭和28年4月30日判決 昭和25年(オ)第80号 抗告審判の審決取消請求事件
最高裁第一小法廷(斎藤悠輔裁判長,真野毅裁判官,岩松三郎裁判官)
民集7巻4号461頁,行集4巻4号910頁,百選[3版]1事件,中山95頁,高林27頁
判決全文

  • 事案の概要
    • 原告らが,「欧文字単一電報隠語作成方法」に関する発明に関して特許出願したが特許局が拒絶し,抗告審判においても請求棄却審決がされたため,同審決の取消しを求めて提訴した。
    • 原判決において,原告らの発明は,「欧文字,数字,記号,等を適当に組み合わせて電報用の暗号を作成する方法」と認定された。
  • 判旨
    • 原判決について,「特許に値すべき発明の本体は自然法則の利用によつて一定の文化目的を達するに適する技術的考案ということにあつて,特許法一条にいわゆる工業的発明とはあらゆる産業に利用されうるものであるが技術産業的特質をもつた発明に限る趣旨と解した上,原告等の本願発明は結局何等装置を用いず,又,自然力を利用した手段を施していないから,特許に値する工業的発明であるとはいえないと説示してその特許能力を否定した」と認定し,その判断を維持した。